もともと愛さんとは占い好きでも気があってたから、愛さんが電話占いをして、それをわたしに紹介してくれる、というのは自然な流れでした。その頃、愛さんは、入社した当初お付き合いしていた同期の男性から、連絡が入っている、という時期でした。
その同期の男性、もともと九州出身で、わが社の取引先のご子息で、勉強に出されていたのです。愛さんとのお付き合いも、本社の若手は皆知っていたんじゃないか、という感じでしたが、この男性、九州の支店に帰ると同時に銀行の娘との婚約を発表したのです。
後から愛さんから聞いた話しなのですが、九州支店への転勤の内示があったとき、愛さんに九州へついてきてほしい、と言われたのだとか。社長夫人になる勇気も。大阪を離れる勇気もまだなかった愛さんは、今は待ってほしいと返事したそうです。
すると、それならもう別れる、といった彼。やはり九州へ行く勇気を持てなかった愛さんは泣く泣くお別れを選んだのだとか。
そのときの愛さんは、見ていられない状態だったんです。あまりに暗い表情だったので、仕事帰りに飲みに行くと、お店で涙を流すし、帰りの電車でも突然涙してしまう。本当に辛かったんだと思うんです。
なんとか、涙もおさまり、彼のこともふっきれたように見えていたのですが、この彼、ことあるごとに愛さんに連絡してきていたのです。
それがようやく落ち着いていたと思ったのに、結婚して、幸せな生活を送っているはずの彼が、またもや愛さんに連絡してきていたのだから驚きです。いったい、どれだけ愛さんを傷つければ気が済むのか?
わたし、この彼は入社したての頃、部署も違ったから言葉を交わしたのも数回程度だったと思います。それで、転勤してしまったので、本当は文句でも言ってやりたいのですが、今はうちの会社を退社して、父親の会社で奮闘中だというから、わたしみたいないち女子社員が連絡できるものでもないのが悔しいのです。
連絡が来たことに怒り奮闘するわたしに、愛さんは相談しにくかったかもしれないのですが、そんなとき相談相手に選んだのが電話占いだったのです。
なんでも、愛さんが不倫している(電話していただけで実際にあっていないので、不倫と呼べるかはわかりませんが)ことを初めての電話で霊視したのだという話しのなんです。